“Portable Art Museum”

1d_130705-b神奈川県立近代美術館さんからのご依頼で、夏休みに子どもたちに配布するノベルティーグッズ制作を担当しました。その名も「ポータブル・アートミュージアム」。持ち運べる、自分だけの美術館が作れるキットです。この制作にあたって、『美術ってなんだ?』という定義を、sesensitkaなりにあらためて考えてみました。

美術は美しいものであるべき? 日本語では美しいという言葉が入っているけれど、英語のartに美しいという意味は含まれない。

文化的価値は、だれが決めているのだろう。人の心をうつって、どういうことだろう。

でもこれって、絵に限らない。なんでもそう。価値とはその人それぞれのもの…。

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たとえば画家の松田正平さんは、何枚もバラの絵を描いています。でも正平さんがバラを美しいなと思ったのは、ある日、とつぜんのことだったそうです。

「戦争中、花も何もない時期に、炭鉱の炭掘りをやる毎日に、道沿いに偶然のように赤いバラが咲いてましてね。どういうわけか、そのバラはとても美しかった。それまでもバラはたくさん見てはいましたけど、「美しいな」と思ったのは、そのときが初めてでした。いま思うと、格別、特殊なバラということではなかったと思うんですけど。」(松田正平画文集 風の吹くとき 求龍堂 より)

バラをきれいと思う人、思わない人がいるように、絵にも好き嫌いがある。ただ、以前は好きではなかった絵が、文章が、年を重ねてとつぜん素敵に見えることがある。美しさに、気づくことがある。

科学も同じで、科学のおもしろさに、ある日とつぜん気づくということが、やっぱりある。

ポータブル・アートミュージアムが、みなれた日常から自分だけのあたらしい価値を発見することに、一役かうことができたなら最高だな、と思うのです。

(佐々木真由子)

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